フジロック ’21を待ちながら

幻のフジロック 2020を経て、2021年の苗場まで。

【リストバンド】外すタイミング


フジロック鬱ポエム

「リストバンド」




小学校の遠足で、最後に先生が「家に帰るまでが遠足です。」とよく言っていた。


だから、家に帰って「ただいま!」と言うと実感したものだ、


無事に遠足を終えたのだと。



フジロックはどうだろう。


やはりフジロックは、リストバンドを外すまでがフジロックではないか。


最終日のグリーンステージでパワー・トゥー・ザ・ピープルが終わっても、


月曜の朝に係員に拡張機で促されながらテントをたたんでいても、


友達と「また!」と分かれ、別々の帰路についても。


まだフジロックは続く。



帰りの越後湯沢駅でお土産を買ってる時、


あれはフジロックだ。


高速のパーキングでリストバンドを付けてるやつがいれば、


それもフジロックだ。



全国から集まったフジロッカーが段々と散り散りになってゆく。


お互いがそれまで苗場にいたことを証明出来るのは、


外せないままのリストバンドだけ。


家に近づくにつれ、


周りにリストバンドを付けた人が少なくなってゆく。


あんなに遊んでた何万人もの人たちは、


みんなどこへ行ってしまったのだろうか。


最後の一人になった自分のリストバンドを、消えかけた灯火を守るようにに大切に家に持ち帰る。


まだ、手首にはリストバンドが付いている。


と、いうことは


まだフジロックだ。




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火曜日の朝、君は疲れを残して出社する。


手首にリストバンドは無く、


代わりにビジネス用の腕時計が付いている。


駅のホームでは、腕時計を付けた人が溢れる。


この中に、昨日までそこにリストバンドを付けてた人はいるのだろうか。


金曜日は、駅のホームでみんな同じものを手首に付けてるのを見ると、


あんなに心が弾んだのに。



今年のフジロックも、どうやら無事に終わってしまったらしい。



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