【ホワイトステージ】MGMTでからまれる
今日は私が
「…っんだょ!!もぉぉおおっ!!!」
と、ホワイトステージで叫んだ話。
ー2010年のフジロック。
二日目の土曜。
ホワイトステージのトリはMGMT。
2007年にリリースされた『Oracular Spectacular』は、フジロックに行っているみんなが大好きだったろうし、当時とにかくいろんなイベントで“Kids”が流れまくっていた。
「MGMTはフジに合いそうだなぁ」と思っていたので、ラインナップで発表された時から、かなりワクワクしていた。
当日も案の定ホワイトステージはすごい集客だった。
裏のグリーンのヘッドライナーがレジェンド枠で【ロキシー・ミュージック】だったので、10代〜30代はみんなホワイトに集まっていたのではないだろうか。(あの時期のレジェンド枠のこだわりは何だったのだろう)
MGMTのステージが始まると、人の波はさらにうねりだした。
「こりゃ前の方に行ったら、出るときキツイな。」
頻尿な私はライブを見るとき、常にトイレの不安と駆け引きしている。
ステージも後半に差し掛かった頃、人混みが少ないスペースを見つけたのでタバコを吸った。
(Kidsは絶対聞きたいから、一服したら小便しとくか)
なんて考えてると、
『おい!コラぁ!タバコ吸ってんなよ!!』
突然若い兄ちゃんに怒鳴られた。
「ひいぃっ!かっ、からまれたぁ!!」
『タバコ消せよ!』
(いや、火つけたばっかだし…)
『ここは禁煙だろーが!』
(いや、PAより後方は禁煙じゃないし、一応周りに気遣って吸ってるし…)
向こうは彼女連れだったので正義感をアピールしたかったのだろうか。
確かにタバコの臭いや煙を不快に思う人は多い。
それに関しては申し訳ない。
だからこそ、煙は極力周りに撒かないよう上空に吐き出し、最低限のマナーを守り、あくまでルールの範囲で吸っているのだ。
それより、いきなり怒鳴りつけて来るお前こそ何なんだ。
『早く消せコラぁ!』
今こいつと争ってる場合じゃない。
私が今争っているのは【尿意】だ。
しかし、さすがに言い方に腹が立った。
「うるせぇこの野郎!ここは禁煙じゃねーし、いきなり怒鳴るな!」
『はぁ?何だおい、やんのかよ!?』
「彼女さん困ってるだろうよ。どっか行け!」
向こうも彼女連れなので引くに引けないのだろう。
こちとら“Kids”が始まる前にトイレに行かなきゃいけないのに。
しかし、この後こいつは自分の投げたブーメランで、あっけなく自爆するのである。
『よーし分かった!
おい! “表出ろや!!” 』
(ヒュンヒュン、ヒュンヒュンヒュン…)
「表だココは!!」
(グサァッ!!)
「メチャメチャ表だっぺよ!」
そう、ここはフジロック。
野外フェスティバル。
オモテ中のオモテなのだ。
きっと、一度言ってみたかったセリフだったのだろうが、
彼の口から放たれたブーメランは放物線を描き彼自身に突き刺さった。
ブーメランが刺さったまま無言になる彼氏。
その刺さったブーメランを見つめる彼女。
(だから、彼女の前でやめときなよって言ったのに…。)
文字通り口論の“火種”となったタバコはいつの間にか消えていた。
…ほとんど吸えてない。
その時、
最悪のタイミングでステージから“あのイントロ”が流れる。
“チャッ・チャッ・チャーチャ♪
チャーチャ・チャッ・チャ・チャー♪”
再び動き出す人混み。
ブーメランが刺さった彼は、
その波に飲まれ暗闇へと消えていった。
一番楽しみにしていた曲なのに、
こんなテンションで聞かなきゃいけないなんて…
「…っんだょ!!もぉぉおおっ!!!」
「ドンマイ。」
「シカタナイヨ。」