フジロック ’21を待ちながら

幻のフジロック 2020を経て、2021年の苗場まで。

【我が愛しのパリ】アカネ嬢との三年間



フジロック最奥地に佇む目眩くムーランルージュの世界。


『カフェ・ド・パリ』


2012年から2014年までの3年間、

このステージを本当に愛していた。


甘美な内装。


美味しいモヒート。


ビッグ・ウィリーのドラミング。


入り口のセクシーマネキン。


パリを求めて何度も重い足を引きずった。


パリを求めて何組ものアクトを見逃した。


我が愛しのパリ。



そして何より愛していたのが、

幕間のポールダンス。


しなやかな躰をポールに纏わせて舞う姿、

急降下する度に響く摩擦音の迫力、

チップを渡すとテキーラを呑ませてくれる魅惑のダンサー達


酷い時は1日に3ステージ観賞。

日中ほぼほぼ居座っていた。



2012年、初めてのパリで


友人が 1人のダンサーにトリコ仕掛けにされた。


彼女の名は『アカネ』。




下戸の友人はアカネ嬢にチップを払い、

飲めないテキーラに潰された。


そこから2時間、彼は頭痛と闘いながら眠っていた。


何しに苗場に来たんだコイツ。



翌日も彼に連れられパリへ。


アカネ嬢は今日も美しく舞っている。


テキーラタイムに入り、私も千円札を彼女達の衣装に差し込み、お酒を頂いた。


友人はアカネ嬢が来るまで、他のダンサーにチップを払わなかった。


先に潰れてしまうからだ。


ようやく私達のテーブルにアカネ嬢が来ると、彼は財布から万札を取り出した。


ちなみにここでのチップの相場は千円だ。


なんと羽振りのいい、

とんだバカ社長のお出ましだ。


バカ社長はアカネ嬢のパンツを引っ張ると、

何の躊躇いもなく「パシーンッ」と万札を差し込んだ。


(もちろん常識の範囲内でだよ)


驚いたアカネ嬢は彼に普段の倍以上のテキーラを注ぎ込んだ。


良心的サーヴィスとして。



……そして再びバカ社長は、深い闇へと沈んでいったのだった。


続く。


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