フジロック ’21を待ちながら

幻のフジロック 2020を経て、2021年の苗場まで。

【手ぶらでフジロック 】2018弾丸ツアー


2018年のフジロック


この年は家計の事情で「今年は行っちゃダメ」と嫁さんから言われていた。


しかしまあ、そこまで悲観的にならなかったのは、かなり前々から「今年はダメ」と言われてたこともあるが、


何よりYouTubeでの本格的な生配信があったからだ。


「たまには家でビール飲みながらフジロックもいいか」くらいに思っていた。



そして開催週の金曜日。おつまみと酒を揃えてリビングステージでのフジロックが始まった。





これはダメだ。




見るもんじゃなかった。




テレビ画面にリアルタイムのグリーンステージが映った途端、その衝動が一気に押し寄せた。



「苗場に行きたい!!」



そう思うと、居ても立ってもいられず、


「明日1日だけ苗場に行かせてくれ!」


「会場に入れなくていいから、とりあえず苗場に行かせて!」


と、嫁さんに頼み込んだ。



「会場に入らないで何しに行くの?」と、至極真っ当なことを聞かれたが、


違う、そういう問題ではないのだ。


今、フジロックがやっていて、自分は家にいる。


それが耐えられないのだ。


もちろんこの感覚は共有されず、半ば呆れ気味だったが、「苗場に行くことは」OKをもらった。



期せずして突然行けることになったフジロック(の会場周辺)。


心が躍った。


その日は酒を飲んでいたので、翌朝車で出発することにした。





そして、翌日。


【突然弾丸フジロック


勢いで出たもんだから、とにかく荷物が軽い。


いつもはキャリーバッグに4日分の着替えと、テントに長靴にその他もろもろ。


準備するだけで一苦労だが、


今年は違う。


着替え無し、折り畳み椅子と雨ガッパだけ。


こんな身軽なフジロックは初めてだ。


まあ、中に入らないから当たり前なのだが。



車内で1フジロックの配信を見ながらフジロック(の会場周辺まで)を目指す


とてもワクワクするドライブだった。


ハライチ岩井のCMがしつこくても全然嫌じゃない。




午後1時を過ぎた頃、苗場に到着した。


とりあえず民間の駐車場に車を止めて、場外エリアへ向かった。



「おぉー!帰ってキタァ!」


昨日は画面越しに見ていた苗場に、

今こうして立っている。


そこで飲んだ一発目のビールは、昨日家で飲んだものより何倍も旨かった。



しかし、こうして見ると周りの人は私の事を「ただのフジロックの客」と思うだろうが、


忘れてはいけない。


私の手首には何もついていないのだ。



チケットも無いのにフジロックの場外エリアで折り畳み椅子を広げ、YouTubeの配信を見ながらビールを飲んでいるのだ。


究極のエアフジロックだ。


しかもビール飲んじゃったから今日はもう運転できない。




さて、どーすっぺ。



私の足は自然と入場ゲートとは逆の方へ向かった。


今から会場へ向かう人の波を抜けてひたすら突き進む。



途中、可愛いアウトドアファッションを召した女性フジロッカーが何人も横切ったが、今の私の目当ては彼女達ではない。



お目当ては、

【チョット怖いお兄さん】だ。



「すいません、一日券ありますか?」



勇気を出して声をかけた。



【チョット怖いお兄さん】は、


「今日のは無いなぁー。」と、素っ気なく言うと、


私には目もくれず他のフジロッカーに声をかけだした。



その後、何人の【チョット怖いお兄さん】や【だいぶ怖いオジサン】に声をかけただろう。


恐らく全員に声をかけた。




なのに、みんな全然相手してくれないじゃん!


去年まであんなに向こうから声かけて来てくれたのに!


全然逆ナンには引っかかってくれないじゃん!!



「何なのよもう!」



誰にも抱いてもらえず、ひたすらフラれ続けてすっかり心の荒んだ私は、場外エリアでヤケ酒することを決めた。



ふと、1つのテントに目が止まる。



ー【チケット販売】当日券あります。



なんと!思いがけぬ出会い!


普段前売りで買ってる私は考えもしなかったのだが、オフィシャルで当日券が売っているのだ。


あぁー!神様!


さっきのツルピカ刺青男に身体を許さなくて本当に良かった!



そして私は迷うことなくオフィシャル様に操を捧げた。




その後私は、何度も何度も興奮の絶頂に達し、ケンドリック・ラマーにガクガクになるまで腰を動かされ、記録的な大雨が窓を打つ音を車で聞きながら、いつのまにか眠ってしまっていた。


朝日が昇る前に目を覚まし、苗場を出た。


高速に入った頃には、太陽のオレンジ色が薄暗い空に差していた。


家族にバレないよう、そーっと家に入る。



嬉し・恥ずかし・朝帰り。

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